安倍吉俊 デビュー20周年個展開催 『lain』や『灰羽連盟』のBD再販も

2016/11/08

イラストレーター・漫画家として活動している安倍吉俊さんが今年デビュー20周年を迎える。

それを記念して自選画展「祝祭の街 明・暗・素」が、2015年9月17日(木)から10月6日(火)まで東京都中野にある「pixiv Zingaro」にて開催されることが決まった。

安倍吉俊さんといえば『灰羽連盟』の原作や『serial experiments lain』のキャラクターデザインを行ったことでも有名で、また最近までガンガンONLINEにて『リューシカ・リューシカ』を連載していた。

今回は安倍吉俊さんの作品を上述の3つを中心に語っていきたいと思う。

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『serial experiments lain』 - lainという名の存在証明

lain

『serial experiments lain(通称:lain)』は1998年当時ではまだ珍しいメディアミックスを前提とした作品群を指す。

現代では当たり前のように広がったインターネット文化をテーマにアニメ版ゲーム版、そしてグラフィック+テキストといったものが雑誌に掲載される形でそれぞれ制作された。

ただし大元のテーマこそ「存在は認識=意識の接続によって定義され、人はみな繋がれている。記憶とはただの記録にすぎない」と共通しているが、物語自体は全く異なるもので共通項はあるもののすべての媒体ごとに違った物語が楽しめる仕組みとなっている。

そんな『lain』において安倍吉俊さんはキャラクター原案を担当したのだが、雑誌、アニメ、ゲームすべてひっくるめて「lain」という存在に焦点が当てられている。

アニメ版を例に出すと、物理世界(リアルワールド)電脳世界(ワイヤード)の2つの世界を舞台に物語が繰り広げられるのだが、

  • 岩倉玲音(いわくられいん)
    主人公。内気な14歳の少女。
  • レイン
    岩倉玲音であって、岩倉玲音でない存在。
  • lain(れいん)
    岩倉玲音の姿をしている別の存在。
  • れいん
    ワイヤードの女神。

といった具合に同名キャラが4人登場し、その中で本当の自分の存在を苦悩するという内容になっている。

正直なところ、口で説明するのが難しく見てもらった方が早いのだが、見ても内容が理解できない人も多い。

ゲーム版に至っては「精神が弱い人はプレイしないことを推奨する」なんて文言がプレイした人から飛び交うぐらいの内容だ。

それでも一定の評価を得ているのは、一重にその重厚なテーマとインターネット社会におけるアンチテーゼを唱える内容となっているからだと筆者は思う。

なおアニメ版の『lain』だが、2015年10月23日にBD-BOXが廉価版として再販される。

これを機会に久しぶりに『lain』の世界に飛び込んでみるのも悪くないだろう。

『灰羽連盟』 - 同人誌から生まれた名作

『灰羽連盟』安倍吉俊さんの同人誌『オールドホームの灰羽達』を元に構成されたTVアニメである。

その内容は「灰羽」と呼ばれる灰色の羽をもつ少女たちの日常を描く物語である。

これだけ聞くと少し変わった日常ものかと思うかもしれないが、そんなことは決してなくとても深いテーマを持つ物語となっている。

残念なことに2002年当時のフジテレビのアニメ事情が劣悪であったこともあり、伏線が多々残りつつの完結となったが、視聴者はみんな口をそろえて「素晴らしいアニメを見ることができた」というものだった。

深い心理描写、独特で不思議な世界観、セピア調の抑えた色彩、美しく雰囲気のある背景、透明感あふれる音楽など、物語を構成する要素のどれもがすべて素晴らしい。

肝心のストーリーもテーマ性の深いもので、多くの伏線が残されているが故に視聴者ひとりひとりが独自の解釈で物語を触れることができ、何度見ても考えさせられる内容となっている。

そんな『灰羽連盟』もまた2015年10月23日にBD-BOXが廉価版で再販される。

まだ持っていない人は『lain』と一緒に買ってみるのも良いかもしれない。

『リューシカ・リューシカ』 - 幼い頃に見る不思議な世界

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『リューシカ・リューシカ』はガンガンONLINE紙上に2015年6月25日まで連載されていた漫画である。

基本的にはリューシカと呼ばれる想像力豊かで旺盛な好奇心を持つ少女の目線を通して日常の中に潜む様々な事象に触れていくという1話完結型の物語なのだが、特出すべきはリューシカ、延いては作者の安倍吉俊さんの発想力だ。

幼いリューシカの目線を通して見る日常は不思議なことがいっぱいだ。

新しいものに触れるだけで不思議に思い、大人にとっては些細な事でも興奮してしまう。

物事をそんな風に感じていた頃が誰しもあったと思うのだが、それ故に『リューシカ・リューシカ』を読んでいると童心が刺激され、なんだか懐かしい気持ちにさせられてしまうのだ。

個人的に最近まで読んでいた漫画の中ではベスト5に入る面白さだったので完結してしまったのは残念ではあるが、長々続くよりは良かったのではないかと筆者は思う。

ちなみにそんな『リューシカ・リューシカ』の最終第10巻は2015年8月23日に発売する。

『lain』『灰羽連盟』のBD-BOXを買うには1万円以上必要だが、単行本なら500円程度で買えるので発売日には書店に向かい、是非購入しよう!

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独創的で不思議な安倍吉俊の世界

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今回は安倍吉俊さんの代表作や最新作を中心に紹介してきたが、それ以外にも数々の名作に関わっている。

例えば当サイトでも紹介した『All You Need Is Kill』や『テラフォーマーズ』の挿絵を担当したのも安倍吉俊さんだし、それ以外にも2006年にはアニメ化された『NHKにようこそ!』や星海社で刊行していた人気ライトノベル『フェノメノ』(著:一肇)の挿絵を担当したのも安倍吉俊さんだ。

このように安倍吉俊さんの仕事の範囲は多岐に渡るが、共通して言えるのは「どの物語も不思議で独特な世界観を持つ」ということだ。

今回紹介した3作はもちろん、紹介しきれなかった作品に関しても一味も二味も違った世界観を持った物語ばかりだ。

そんな物語を彩る安倍吉俊さんのイラストもまた「不思議で独創的なもの」と言えるのではないだろうか?

この度、開かれる安倍吉俊デビュー20周年記念自選画展「祝祭の街 明・暗・素」では、そうしたイラスト群の中から安倍吉俊さん自らが厳選した30点が展示される。

またそれに先駆けて画集『祝祭の街 明 -Lightness- 安倍吉俊デビュー20周年記念自選画集』『祝祭の街 暗 -Darkness- 安倍吉俊デビュー20周年記念自選画集』『祝祭の街 素 -Sketches&Drawings- 安倍吉俊デビュー20周年記念自選画集』が発売され、今回展示されるイラストも含めた20年の集大成がテーマごとに3冊に纏められる。

未だに広がり続ける安倍吉俊ワールド、その一端に触れる意味でもお近くにお住まいの方は展示会には是非、足を運ぼう。

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