光の向こう側を求め続けて『遊☆戯☆王 THE DARK SIDE OF DIMENSIONS』レビュー

2017/02/06

『遊☆戯☆王』シリーズ20周年を記念して制作された劇場版『遊☆戯☆王 THE DARK SIDE OF DIMENSIONS』

世界的カードゲームとして広まり、今でもアニメは継続して放映されている『遊☆戯☆王』シリーズ。

ですが今回、劇場版として描かれるのは現行のアニメシリーズ『遊☆戯☆王Arc-V』の物語ではなく、原作『遊☆戯☆王』のエンディング後の物語。

武藤遊戯と名もないファラオの闘いの儀の果てに光の中へ完結した物語。

その後日談として描かれた映画は非常に面白く、より『遊☆戯☆王』というものが洗練に描かれていたと思います。

今回は筆者の思う『遊☆戯☆王 THE DARK SIDE OF DIMENSIONS』の見どころを千年アイテムの数に合わせて伝えていこうと思います。

当然ながらネタバレだらけですので、映画を見る前にそういったものを見たくないという方はブラウザバックをお願いします。

また原作のストーリーを簡単に振り返りたい方は『遊☆戯☆王 THE DARK SIDE OF DIMENSIONSを見に行く前に原作をおさらいしてみた』を見ていただければ幸いです。

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見どころその1:海馬社長のアテムに対する執着心

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『遊☆戯☆王』といえば海馬社長のぶっ飛びっぷりがヤバいのはみなさんご存じのとおりですが、劇場版でもそれは健在です。

むしろアニメや原作以上に過激と言えるかもしれません。

ブルーアイズを向ける海馬社長の愛は何者にも到達できないとは思いますが、今回、その海馬社長の情念はアテムへと向きました。

闘いの儀においてアテムと戦うことができなかった海馬社長。

生涯のライバルとして認めた男と決着をつけきれず別れることになった海馬社長ですが、それで納得できるはずがありません!

そこで海馬社長は冥界からアテムを呼び戻すために千年パズルを再発掘し、再び組み立てることを敢行!

遊戯が組み立てるまで3000年の長きの間に千年パズルを組み立てるものはおらず、その遊戯8年の時を有して組み立てた千年パズル。

いくら海馬社長とは言えそう簡単に組み立てられるはずがありません。

ですが不可能を可能にするのが海馬社長。

海馬社長は千年パズルを組み立てるために軌道エレベーターと宇宙ステーションを制作。

宇宙の無重力を利用してパズルの形をシミュレートし、たったの6時間で組立に成功しました。

……しかし改めて考えてみると、海馬社長が原作の時点で宇宙ステーションを作るような話は合ったように思えません。

なのでおそらく宇宙ステーションを作ることにしたのは闘いの儀の直後のことだと思います。

原作の最終回から劇場版までの間の時の流れは長く見ても1年と少し。

つまり海馬社長、ひいては海馬コーポレーションはたったの1年間で軌道エレベーターと宇宙ステーションを作ったことになります。

海馬コーポレーションの技術力は化け物か……。

なお海馬社長に関してはこれ以外にも地面の下からオベリスクをドローしたり、土砂降りの雨の中、クラクションが鳴り響く交差点の真ん中で遊戯に大会への参加を促したり、ブルーアイズジェットが着陸体制に入っている中で飛び降りるなど、もうほんと見どころ盛りだくさんです。

映画館だったので笑いを堪えるのに苦労しましたが、もし家で一人で見ていたなら、まず間違いなく大爆笑をしていたと思います。

ですのでこれから見に行こうという人は、腹筋を鍛えてから行くことをおすすめします(笑)

見どころその2:AGOへのこだわり

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今回の映画で主役と言えるのが遊戯海馬、それに劇場版オリジナルキャラクターの藍神の3人。

ですが『遊☆戯☆王』を支える名脇役として城之内の名前を忘れてはいけません。

初めから才能があった遊戯海馬とは違い、素人同然のところから一流のデュエリストに這い上がっていった城之内。

そんな城之内の成長物語も『遊☆戯☆王』の魅力の1つではあります。

その一方でアニメ版での城之内といえば、顔芸(AGO)という特徴があります。

画像で掲載したように顎を強調した顔芸に笑わされた視聴者も多いと思います。

今回の映画でもスタッフのこだわりとして城之内のAGOシーンがあり、そのシーンで一緒に本田や杏子も変顔をしています。

こういった妙なところに力を入れるのも、『遊☆戯☆王』の魅力の1つと言えるでしょうね。

見どころその3:男を撮影する男

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今回、ケンドーコバヤシさんが演じるゲストキャラクターの1人である百済木。

一見すると不良なのですが、その言動はどこかおかしい。

2016年4月20に放映された公開直前SPケンドーコバヤシさん自身もおっしゃっていたことなのですが、藍神(男)のあられもない姿を撮影しネットに晒そうとする百済木(男)というのはどうなのだろうか?

藍神が女であるならばまだわかる。

しかし男が男を辱めようとするこの構図は明らかにおかしい。

とはいえ初期の頃から、『遊☆戯☆王』に触れてきた筆者としてはケンドーコバヤシさんに言われるまでおかしいと思わなかった辺り、だいぶ毒されてるのだなと思いました(笑)

見どころその4:御伽くんの扱い

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原作ではD・D・D編にのみ登場しつつ、アニメでは準レギュラーとして登場した御伽君。

今回の映画は原作の後日談ということでしたが、原作ではほとんど登場せずにアニメでは登場し続けた御伽君の扱いがどうなるか個人的には非常に気になるところでした。

一応、予告編でチラッと映っていたので登場することはわかっていたのですが、ちょっと待ってほしい。

海馬社長が主催する大会の観客として城之内杏子、本田などは来ているのですが、御伽の姿はないではありませんか!

城之内と一緒にバイトしていたり、エンディングでアメリカに行く杏子を見送ってはいるのに、大会の応援に参加していないのはおかしくないか!?

もしかしたらスタッフの中でも御伽君を登場させるかさせないかの議論があったのかもしれませんね。

見どころその5:次元上昇を目指すプラナたち

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今回の映画では劇場版オリジナルキャラクターとして上述の百済木だけではなく、藍神セラ、マニといったキャラクターが登場します。

彼らは作中でプラナと呼ばれる存在で、理想とする世界への次元上昇を目指し、選ばれたもののみで生きようとし、必要のないものをこの次元から消去するという恐るべき能力を有しています。

映画を鑑賞中、そんな彼らの姿を見て筆者はどことなく『遊☆戯☆王ZEXAL』に登場するアストラル世界のことを思い出しました。

そもそも今回の話で海馬コーポレーションが発揮した技術力は地続きの物語とされている『遊☆戯☆王GX』『遊☆戯☆王5D's』を遥かに上回っているんですよね。

その一方で海馬コーポレーションが開発した新時代デュエル「デュエルリンクス」ではARヴィジョンシステムを用いるなど、『遊☆戯☆王ZEXAL』との共通点が多い。

なのでもしかすると映画『遊☆戯☆王 THE DARK SIDE OF DIMENSIONS』の未来が『遊☆戯☆王ZEXAL』の物語なのではないでしょうか?

今回の劇場版製作スタッフの中核を成すメンバーが『遊☆戯☆王ZEXAL』のアニメスタッフが主という話らしいので、ただ単に似てしまっただけかもしれませんが、そう考えると面白いですよね?

見どころその6:ライフポイント8000で行われる美麗なデュエルシーン

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『遊☆戯☆王』と言えば「デュエルモンスターズ」、「デュエルモンスターズ」と言えば『遊☆戯☆王』というほどに密接な関係にあることは周知の事実。

今回はそんなデュエルシーンもかなり力が入っています。

アニメ『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ』ファンならお馴染みの作画監督、加々美高浩さんが総作画監督を勤めるということで、キャラクターが機敏に動き、一挙手一投足にも非常に力が入っています。

モンスターについてもパンフレットによると、実に27体のモンスターがCGで描かれモンスター1体につき約1,2ヶ月の時間をかけて制作されたとのこと。

何より次元領域デュエルという、全く新しいデュエルでは遊戯海馬のデュエリストとしての強さがそのままモンスターのステータスに直結するという演出がされており、古代エジプト編で描かれた「ディアハ」に通ずるものがありました。

ただカードを召喚するのではなく、自分の精神力を注入して召喚する形として描いた次元領域デュエルは、『遊☆戯☆王』の最終章に相応しい演出だったと思います。

見どころその7:12年の時を経て回収された伏線

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カードゲームという印象が強い『遊☆戯☆王』ですが、実は原作の中で回収されていない伏線が何個かありました。

そこに大きく関わってくるのがシャーディー。

千年アイテムにまつわる秘密を握っている彼ですが、実はその正体については謎に包まれていました。

ですが今回、登場する藍神セラマニといったキャラクターはシャーディーに育てられており、その意志を継ぐ形で物語に関わってきます

またシャーディーを巡っての藍神獏良の因縁についても描かれることになり、原作で描ききれなかった箇所の補完という形をなしています。

これは原作における足りなかったピースを埋める形で入れられた形となり、これによって言うなれば『遊☆戯☆王』という名のパズルが完成したといっても過言ではないでしょう。

見どころその8:復元された千年パズルにアテムは……?

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海馬社長の手によってほぼ復元された千年パズル。

藍神の手によって2つのピースが奪われ、そのうちの1つはセラの手から遊戯へと託されます。

千年パズルを復元させアテムとの決着をつけたい海馬社長千年パズルの復活を阻止するべく暗躍する藍神そしてアテムのことを忘れられない遊戯。

そんな3人の思惑が複雑に交錯しながら、完成した千年パズル。

果たしてアテムは冥界から蘇ったのか?

今まで散々、ネタバレしてきましたが、この辺についてはあえて語りません。

最終的に物語がどのような終局を迎えるのかは是非、劇場に行ってその目で確かめてもらいたい!

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総評:光の向こう側を求め続けて

とりあえず見どころを紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?

正直、海馬社長のくだりだけやたら長くなってしまいましたが、それも仕方ないことだと思います。

劇場版『遊☆戯☆王 THE DARK SIDE OF DIMENSIONS』では遊戯、海馬、藍神の3人の主人公を軸に描かれた物語となっていますが、実際には海馬社長が千年パズルの復元を試みなければ今回の映画の物語は始まりませんでした。

原作者の高橋和樹先生もパンフレットのインタビューで「海馬というキャラクターをもう少し描いてみたいという思いがあり」とおっしゃっているように、今回の物語は海馬社長がすべての発端となっています。

原作でブルーアイズに向けていた情念をすべてアテムに向けた今回の海馬社長。

光の中にいるアテムを求め続けた海馬社長の生き様は非常に男らしく、ある種の人生の指標にしても良いと思えるほどのものでした。

良くも悪くも今回の映画は海馬社長のための物語と言えるでしょう。

20年の長きに渡りシリーズが継続し、12年の時を経てより『遊☆戯☆王』の世界を深めた劇場版『遊☆戯☆王 THE DARK SIDE OF DIMENSIONS』

関係者が魂を込めて作り上げたこの傑作映画を当時デュエリストだった人には是非、劇場で見てもらいたい!

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