CHAOS;CHILD TRUEエンドの考察・感想 この作品はシュタインズ・ゲートを超えたのか?

2016/11/17

『STEINS;GATE』でお馴染みの「科学アドベンチャーシリーズ」の第4弾として制作された『CHAOS;CHILD』

妄想化学アドベンチャーである『CHAOS;HEAD NOAH』の続編であり、2014年にXbox Oneでリリースされたのを皮切りに、2015年にPS3/PS4/PS Vitaにも移植され、2016年4月28日にはPC版でも発売されました。

すでにアニメ化企画も進行中の本作をプレイさせていただいたので、考察と感想なんかを書いていこうと思います。

今回は最終ルートであるTRUEと全体の総括を述べていきます。

なお共通ルートに関してはこちらでレビューしておりますので、よろしければそちらもご覧いただけたら幸いです。

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この作品はシュタインズ・ゲートを超えたのか?

トゥルーについてはもう何を書いてもネタバレになってしまうと思いますので、詳しいことは言えません。

ただPS4/PS3/PS Vita発売前に公開された上のPVに非常に挑戦的な言葉がありました。

――この作品は、シュタインズ・ゲートを超えたのか?

『STEINS;GATE』といえばノベルゲームでは限りなくごく少数のシリーズ累計販売本数100万本を超えたビッグタイトルです。

公式がそんな『STEINS;GATE』を引き合いに出した上での挑戦的なキャッチコピー。

けれど筆者は思います。

確かに『CHAOS;CHILD』は『STEINS;GATE』を超えていたと――。

TRUEネタバレ感想:そして。彼女たちは、このくそったれな現実を生きていく――

というわけで早速ですがここからはネタバレありの感想です。

広告から先はネタバレしかありませんので、ネタバレを嫌う人はここでブラウザバックをお願いします。

――このくそったれなゲームをクリアした先に待っていたのは、辛く厳しい現実の世界。

TRUEルートその名の通り、真実が明かされるルートです。

普通のゲームであれば、それはハッピーエンドだったり、事件の円満解決に臨むルートだったりします。

ですが『CHAOS;CHILD』におけるTRUEというのは、その名の通り何も知らない人に向けた真実を明かすことのみに徹しています。

物語は共通ルートの3ヶ月後、拓留によって今までの記憶を封印され普通の女の子となった尾上世莉架の視点で描かれていきます。

共通ルートや個別ルートではその存在感を遺憾なく発揮してきた世莉架ですが、ここでの彼女はあくまで普通の女の子。

普通の女の子だからカオスチャイルド症候群患者の見た目に忌避を覚えてしまい、

普通の女の子だから宮代拓留が犯罪者であることを疑わず糾弾し、

普通の女の子だからディソードとギガロマニアックスの存在を目の当たりにしても受けいることができない。

『CHAOS;CHILD』で明かされる真実というものは、すべて劇的なものです。

ですが真実が明かされたからといって何が変わるというのか……。

何の力も持たず、当事者でもない普通の女の子にとって、真実を知ったところで何もすることはできません。

それでも彼女の中には確かにそれらについての記憶が断片的に見え隠れし、世莉架のことを責め立てます。

そんな彼女が無意識のうちに向かうのは、運命の場所「ヒカリヲ」

すべての終わった場所で彼女は舞台から降り、観客席でスポットライトの光を浴びます。

そしてそのままスタッフロール。

これまでのルートでぶつけられてきたのは、動的な衝撃的な真実ばかり。

宮代拓留というゲームの主役から見てきた物語は、それはセンセーショナルでした。

それは記憶を失くす前の世莉架拓留の望む物語を演出したからなんですが、それ以上に宮代拓留が舞台の中心に立っていたからそのように見えたのだと思います。

それに対してTRUEで描かれたのは舞台の外から見た物語。

作中で拓留「頑張れという部外者」という言葉を引き合いに出す場面があります。

ニュースなどを見ればわかると思いますが、物事の外側から見る事実というのは、深く考えずに流してしまう事ばかりです。

けれど当事者にとってはそうもいきません。

外から見ている部外者にはわかる苦労・苦悩が数多くあることは間違いないでしょう。

――そして世莉架はかつて当事者だった。

胸の中には熱い激情が滾っているのを自覚しつつも、それを明確に思い出すことができない。

これまでのルートを当事者として接してきたプレイヤーの視点で考えれば、そんな彼女が実にもどかしい。

だけど世莉架の反応というのは、紛れもなくごく普通の女の子――延いてはこの情報化社会の中で氾濫する様々な情報を何気なく見ている人の姿を如実に描いています。

当事者としての拓留の心と部外者である世莉架の心。

両方の側面から触れることで、如何にこの世界が残酷でくそったれな現実であるかが浮き彫りになってきます。

当事者としての拓留はディソードを通じて世莉架が事件を起こした理由を理解した。

部外者としての世莉架は目の前に与えられた情報を鵜呑みにして拓留を犯罪者だと糾弾した。

情報強者と情報弱者、真実と嘘、当事者と部外者。

それらはさもロールシャッハ・テストのように表裏一体となっています。

そしてそれは拓留世莉架の2人にも当てはまります。

おそらく2人の物語が今後、重なることはないでしょう。

ですがそれでいいのです。

拓留は一人の男として好きな女の子を救い全ての罪を背負う道を選び、

世莉架は普通の女の子として生きていくことを選んだ。

これほど綺麗な物語の終わり方の作品は今後、なかなか出会うことはないでしょう。

……やべっ、書いてたらまた涙出てきた。

総括:そして。僕は、このくそったれなゲームをクリア――した

list

上ではTRUEエンドにのみ焦点を当てて書きましたが、ここからは『CHAOS;CHILD』という作品全体について触れていきたいと思います。

シナリオ、キャラクター、システム面、考察の他に独自解釈の極みである『CHAOS;CHILD』に対するある仮説についても書いておきます。

シナリオ:SF設定などどうでもよくなるような濃厚な人間ドラマ

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『CHAOS;CHILD』という作品はカオスチャイルド症候群ギガロマニアックスなど独特の設定がふんだんに使われています。

しかしそんなものは小道具でしかなく、その本質は濃厚な人間ドラマだと感じています。

TRUEではそれが顕著に表れていますが、他のルートでもSF要素を取っ払ってしまえばそれが見えてきます。

筆者は共通ルートや個別ルートのレビューで筆者は『CHAOS;CHILD』を様々なジャンルに例えてきました。

サスペンス、純愛、パニック、ホラー――見せ方としての方向性は違いますが、結局のところ舞台の主役はいつも人間なのです。

どのような小道具を使って描いたとしてもそれは変わりません。

それをマジマジと感じさせてくれた『CHAOS;CHILD』という物語は掛け値なしでスタンディングオベーションをしても良いと思える物語でした。

キャラクター:それぞれの想いを胸に抱いた魅力的なキャラクターたち

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ここからはキャラクター1人ひとりについての雑感。

最初は拓留とメインヒロインだけにしておくつもりでしたが、気づいたら主要どころは全員書いてました。

  • 宮代拓留(cv:松岡禎丞)

    takuru

    情強を気取った情弱……だったはずなのに数々の事件を経て悟りを開いた主人公。

    TRUEでは世莉架視点で物語が進んでいたので彼の心情はわかりませんが、はたしてどんな思いで世莉架と向き合っていたんでしょうね。

    拓留にとって世莉架は幼い頃からの親友で、それでいて守りたいと思える女の子だった。

    実際は世莉架の方が拓留を守っていたのですが、それを自覚したからこそ、これ以上世莉架を苦しめないために彼女を普通の女の子にし、自身はすべての罪を被ることになった。

    その生き様は正に「漢」といった具合なのですが、序盤から拓留がこうなると誰に想像できただろうか?

    科学アドベンチャーシリーズの主人公は皆、非常に魅力的なキャラクターですが、その例に漏れず拓留もまた非常に好感の持てる主人公となってくれました。

  • 尾上世莉架(共通)(cv:上坂すみれ)

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    拓留の願いを叶えるために生まれた世莉架ですが、やっぱり心の奥底で普通の女の子への憧れがあったのだと思います。

    その対象は間違いなく泉里が演じた来栖乃々であることは間違いなく、世莉架もまた泉里を通して乃々に対する憧れを抱いていたのではないでしょうか?

    むしろ拓留と同じ気質を持っていた南沢泉里だった彼女だからこそ、世莉架も友として接してきたのかもしれません。

    ですがその一方で彼女を取り巻く現実というのは、実に残酷で受け入れがたいものでした。

    周りにいるのはカオスチャイルド症候群で物事を正常に認識できない者ばかり、そうでない人間にしても佐久間和久井といった人を人とは思わない人物ばかり。

    そんな人々の内面を世莉架思考盗撮というギガロマニアックスで真っ正面から受け止め続けてきました。

    何が良いことで何が悪いことかわからず、間違った認識を受け止め続けたからこそ、彼女は間違えた。

    世莉架がやったことは擁護できないけれど、それでも彼女の周りの人々が正常な人々であればここまで歪むことはなかったかもしれません。

  • 尾上世莉架(TRUE)(cv:上坂すみれ)

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    拓留のギガロマニアックスによって普通の女の子に改変された世莉架。

    拓留の思う普通の女の子とは少し違った形だったが、それでも彼女は紛れもなく普通の女の子であることに間違いありません。

    けれどその胸の内には断片的に過去の自分のことを思い出し、苛まれてしまう。

    その結果があのエンディングになったと思います。

    最終的に彼女は拓留のことを「知らない」と答えました。

    記憶が戻っていようが戻っていまいが、普通の女の子である世莉架にしてみれば、連続殺人事件の犯人である拓留のことなど知るはずがないのです。

    ――だって世莉架にとっての拓留は紛れもなくヒーローだったはずなのだから。

  • 来栖乃々 南沢泉里(cv:ブリドカットセーラ恵美)

    senri

    始まりこそ乃々になることで以前の自分を捨てた泉里。

    家族に恵まれず、辛い実験の日々の中でそれでも彼女は正気を保ち続けていました。

    けれど乃々になることで泉里は彼女の持っていた心の強さを身に着けることができたのだと思います。

    思うのですが、泉里は1年もの間、昏睡状態だった拓留の世話を献身的に行っているんですよね。

    それは例え乃々になろうという思いを持っていたとしても、なかなかできることではなかったと思います。

    環境が彼女を陰気な性格にしていただけで、泉里は元々、優しい心の持ち主だったのではないでしょうか?

    そしてそのことに本物の来栖乃々は気づいていたからこそ、親友でいたのではないか。

    来栖乃々が渋谷震災で死亡しているため確かなことはわかりませんが、泉里のギガロマニアックスが姿形だけではなく、相手の資質まで複写するのだとすれば、そうであることは間違いないでしょうね。

  • 有村雛絵(cv:三森すずこ)

    namida

    初登場時は色々と怪しかった彼女ですが、良くも悪くも彼女が一番、普通の女の子に近かったのだと思います。

    ふざけた物言いは他者の本心をまともに受け止めることのできない心の弱さの裏返し。

    その能力故に他人の本意を無自覚に理解してしまう彼女は、どうしてもその悪意にちらついて素直に心を許すことができなかった。

    そんな彼女にとって裏表の少ない拓留を始めとする新聞部は居心地が良かったことでしょう。

    だからこそ雛絵ルートでは拓留に依存し、妄想の世界に囚われることとなった。

    『CHAOS;CHILD』で屈指のイチャラブルートだったが故のあの結末は、他のギャルゲーをやる際もしばらくは引き摺ってしまいそうです。

  • 山添うき(cv:水瀬いのり)

    uki

    来歴だけを見ればうきは登場するキャラクターの中で一番不遇なヒロインだと思います。

    他者を優先することを義務付けられたうきは「無垢な少女に世話をしてほしい」という地下施設に収容されていた被験者たちの意識によってそのような女の子へと気づかぬうちに改変されていた。

    ですが元来の彼女もまた、その内面には普通の少女らしい憧れがありました。

    学校に通い、友情を育み、恋をしたい。

    それは現代を生きる人間なら誰しもが普通に経験していることです。

    けれど地下に閉じ込められていた彼女にはそれを許されないどころか、そのような世界があることさえ知らなかった。

    それを教えたのは拓留と泉里を始めとした青葉寮の面々であり、だからこそ彼女は家族として結人拓留を守ろうとしたのだと思います。

  • 香月華(cv:仲谷明香)

    hana

    一見すれば、登場する必要性がなかったキャラクターだと思います。

    華ルートがつまらなかったわけではないのですが、とにかく彼女は本筋に絡んでこない。

    普通のギャルゲーであれば個別ルートがある以上、必要性がないと言い切るわけにはいかないのですが、『CHAOS;CHILD』における個別ルートは言わばオマケのようなもの。

    キャラクターを掘り下げる意味では必須ですが、重要なのは共通ルートとTRUEの方であり、その2つにおいてはいなくとも問題がありませんでした。

    話すことのできないキャラクターなので動かすのが難しいというのは理解できるのですが、華のギガロマニアックスでなければ解決できない事態が本筋であればよかったと思います。

  • 久野里澪(cv:種田梨沙)

    mio

    カオスチャイルド症候群の真実を知った後だと個別ルートがない理由がよくわかります。

    の視点から考えれば老人とも言うべきカオスチャイルド症候群患者の拓留と恋仲に陥ろうなんて考えるはずがありませんよね。

    けれどその一方でTUREエンドで見せたデレ。

    和久井とした取引によってもまた拓留の動向を一生掛けて見つめ続けることになります。

    個別ルートのあったヒロインが去り、個別ルートのなかった澪だけが拓留の傍に残った。

    なるほど、TRUEとは澪ルートということだったのか!

    彼女自身、『STEINS;GATE』スーパーハカーとの関わりを持ち、クリスティーナに至っては先輩後輩の中。

    300人委員会と戦っている背景を考えると、『アノニマス・コード』を始めとする今後の科学アドベンチャーシリーズでも登場する可能性も十二分に考えられますね。

  • 伊藤真二(cv:藤原祐規)

    itoh

    トゥルーエンド後の彼は拓留が「ニュージェネレーションの狂気の再来」の犯人として捕らえられたと知ってどう思ったんでしょうね。

    ただ単に利用され、結衣を殺すことになってしまった彼の精神は非常に危うい状態だと思います。

    一応、乃々ルートではその時の記憶を完全に失わせていたようですが、それでもTRUEにおける世莉架のようにふとした切っ掛けで思い出さないとも限りません。

    その時、果たして伊藤は耐えることができるのでしょうか?

    ある意味で拓留以上に不遇な立ち位置でしたね。

  • 神成岳志(cv:桐本琢也)

    shinjo

    結構やり手な警察官……に見せかけた関係者のパシリ。

    実際のところは警察官の中では有能な方だと思うんです。

    柔軟性を以って事件を追い、ギガロマニアックスディソードといった存在を受け入れていたのですから。

    だというのに人の良さに付け込まれ、拓留のパシリに徹してしまっています。

    その立ち位置がどうにも哀愁を漂わせてしまう。

    周りにいた人物が色々と濃ゆいキャラクターだったが故に、比較的まともな彼はどこか地味目に見えてしまったのは否めませんね。

  • 川原雅司(cv:阿部敦)

    kawahara

    実は筆者は最初、川原が犯人だと疑っていました。

    ですが実際にはそんなことはなかったのですが、決していい奴というわけではなく、来栖乃々のストーカー男だったという。

    思うのですが、いくら乃々のことが好きだからといって、乃々と仲良くする拓留に対して冷たすぎじゃありませんか?

    暴言はもちろん、乃々ルートでは殴る蹴るの暴行を繰り返す。

    しかも最終的に乃々ルートですらフェードアウトする始末。

    ですが筆者は思うのです。

    彼はきっと居もしない来栖乃々の幻を追って旅立って行ったのだと……。

    共通ルートでも一発殴られますが、その際は素直に謝ってきてちょっと良い奴に見えたのにどうしてこうなった\(^o^)/

  • 和久井修一(cv:加藤将之)

    wakui

    和久井のような敵キャラは正直、そこまで嫌いではありません。

    どこか飄々として本心をひた隠しながらも、目的のためには手段を選ばないというスタンス。

    自分独自の考えを持っており、場合によっては命令無視も辞さずに利益を優先する貪欲さ。

    敵キャラクターとしては非常に魅力的な人物だと思います。

    とはいえラスボスとしてみればちょっと拍子抜けしたのも否めないのもまた事実ですね。

    そんなTRUEとは一転して、華ルートではかなりはっちゃけています。

    あのトンデモ展開に見合ったはっちゃけ方で、華ルートは実は和久井ルートだったのではないかと疑っている筆者がいます(笑)

    華ルートの画像だけ見れば和久井もネタキャラっぽくはあるのですが、ラスボスらしいカリスマも兼ね備えていたために中々難しいところですね。

  • 百瀬克子(cv:くじら)

    momose

    前作『CHAOS;HEAD NOAH』から引き続いての登場の百瀬。

    立ち位置としては前作からさほど変わってはいませんが、実は『CHAOS;HEAD NOAH』のとあるルートで彼女は300人委員会に所属していることが明らかとなっています。

    彼女の立ち位置の関係上、『CHAOS;CHILD』ではそのような素振りは一切見せませんでしたが、委員会は本当に至る所に潜んでいることが伺える事実ですよね。

    今後、彼女のように他の科学アドベンチャーに登場している人物はもれなく300人委員会委員会に敵対するかのいずれかの人物であることは間違いないでしょう。

  • 橘結衣(cv:原由実)

    yui

    結衣に救いはないのですか――と思わず神に祈ってしまいたくなるほどに救いのないキャラ。

    結衣生存ルートは雛絵ルートと華ルートの2種類しかないのだが、雛絵ルートでは兄である拓留が死亡、華ルートでは死と隣り合わせな混沌な世界へとご招待といった始末。

    ヒロインたちがそれぞれの日常に帰還した共通やTRUEがあるにも関わらず、結衣には平穏な世界は訪れません。

    強いて言えば雛絵ルートならば結衣も幸せに暮らすことはできるかもしれないが、それにしたって拓留が死んだ悲しみを越える必要がある。

    誰か結衣に救いを与えてください、お願いします。

  • 橘結人(cv:菊池こころ)

    yuto

    姉である結衣が不遇の極みにいるにも関わらず、この弟は共通ルートではうきといい感じの仲になっている優遇っぷりが腹立ちます。

    いや、結人に一切の落ち度はないのですが、その落差が半端ないというか、結衣に対する憤りをぶつけられる手ごろな相手が結人しかいないというか……。

    ちなみに彼がTRUEで昏睡状態に陥っているCGがない件についての考えは仮説内の「個別ルートも妄想の世界?」の項にて記載していますので、そちらをみてもらえればと思います。

  • 佐久間亘(cv:志村知幸)

    sakuma

    和久井には敵キャラとしてのカリスマを感じた筆者ですが、佐久間に対してはただただ吐き気を催すほどの邪悪さしか感じませんでした。

    無邪気とも言い換えていいですが、佐久間にとって青葉寮の暮らしも「ニュージェネレーションの狂気の再来」もただ面白いことでしかありません。

    この面白いという言葉も味噌で、普通の感覚であれば「笑える物語」も「泣ける物語」も一纏めにして「面白い」という言葉を感想を使うことができます。

    ですが同じ言葉でもそこに込められている意味は違っているはずなんです。

    けれど佐久間にはそれがない。

    彼はただ純然に自分にとって面白いと感じたことだけをやり続けてきた。

    もちろん佐久間なりの苦難はあったとは思いますが、苦悩というものはなかったんだと思います。

    『CHAOS;HEAD』で「ニュージェネレーションの狂気」を行った犯人と同様に純然なる敵という意識を向けられるキャラクターでした。

以上、キャラクターの雑感でした。

『CHAOS;CHILD』のキャラクターに総じて言えることですが、声優さんたちの演技が非常に素晴らしい。

筆者も今まで結構な数のアニメやゲームを見てきましたが、全てのキャラクターがここまで声にあっていると感じる作品は数えるほどしかお目にかかったことはありません。

濃厚なシナリオ魅力的なキャラクター声優さんの熱演があったからこそ、これほどまでに物語に引き込まれてしまったのだと思います。

システム面:要素は面白いけれど、攻略難易度は高い

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『CHAOS;CHILD』におけるシステムといえば妄想トリガーマッピングトリガー。

妄想トリガーについては以前も説明しましたが、普通のノベルゲームにおいて選択肢のようなものです。

以前も言った通り、主人公である拓留が妄想対象のヒロインに対する心証という解釈で考えればわかりやすいと思うのですが、それでも個別ルートに入る分岐ポイントを見つけるのが大変でした。

特にうきルートに関してはほとんどをネガティヴで進めなければならず、それは彼女が登場していない序盤の妄想トリガーも関わってくるようなものだったので、見つけるまでの時間は非常にかかりました。

正直、文章スキップだけではなく妄想トリガーまで飛ばすスキップ機能があればよかったです。

また今まで書いてきませんでしたが、マッピングトリガーと呼ばれる推理システムがあります。

これは事件の要所で集まった情報を纏め直すことでより物語の根幹を理解していくためにつけられた機能だと思うのですが、周回プレイをする上では非常に厄介な代物でした。

妄想トリガーの方はオプションでスキップすることができるようになるのですが、マッピングトリガーはそうはいかない。

1周目をプレイするだけならば素晴らしいシステムですが、周回前提のこの手のノベルゲームにとっては鬱陶しいシステムだったことは確かです。

数少ない『CHAOS;CHILD』の欠点の1つと言えるでしょう。

考察:放り投げつつも色々と妄想させられる設定の数々

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シナリオの項で設定なんてどうでもよくなるほどの人間ドラマなどと述べた先から、設定についての話をします(笑)

  • カオスチャイルド症候群①

    『CHAOS;CHILD』の物語の象徴そのものであるカオスチャイルド症候群。

    自らの都合のよい現実のみを受け入れ、辛い現実を否定する。

    それだけならば理解できますが、もう一つの特徴的症状として老化現象があります。

    老化現象についての説明は『CHAOS;HEAD NOAH』内で「ギガロマニアックスは妄想する度に現実とのズレを反粒子という形でディソードに蓄積し、この矛盾が自己崩壊へ至り、老化現象を引き起こした」といった説明があります。

    そこから推察するに渋谷震災で見た光は反粒子の塊であり、それを浴びた人がカオスチャイルド症候群を発症したと推察できます。

    とはいえこのような話は『CHAOS;HEAD NOAH』をプレイしていなければわからない話なので、『CHAOS;CHILD』が初見の人には受け入れがたい設定であるんですよね。

    では仮に老化現象が起きなければどうなっていたか?

    筆者はそれが共通ルートのエンディングなのかなって思います。

    共通とTRUEでは泉里の生死が分岐条件っぽく描かれていますが、それだけでは共通ルートのエンディングについて説明つかないことが多い。

    以下の仮説でも共通ルートについては触れていますが、共通ルートの世莉架は拓留の改変を受けたようには見えないんですよね。

    あの時点ではカオスチャイルド症候群は一種のPTSDであり、TRUEまで進めたプレイヤーでなければそれが真実のままです。

    実は老化現象など起きておらず、共通ルートや個別ルートで見たままの世界が「本当の世界」だという考え方。

    考え出せばキリがありませんが、そういう風に考える余地が残されているのも『CHAOS;CHILD』の魅力の1つだと思っています。

  • カオスチャイルド症候群②

    上では老化現象についての話は上述しましたが、こちらは拓留がカオスチャイルド症候群から復帰できた理由について考えます。

    共通ルートにおいて拓留世莉架を普通の女の子に戻し、ギガロマニアックスの力を捨て去ります。

    ここで注目するのは『CHAOS;HEAD らぶChu☆chu!』のストーリー。

    大筋のストーリーとして妄想の世界に囚われた西条拓己が現実に復帰するという流れなのですが、これってカオスチャイルド症候群から復帰した拓留と似ていませんか?

    拓己もこの事件によってギガロマニアックスの能力のほぼすべてを失っていますし、妄想の世界で現実と向き合うという点でも同じ。

    ギガロマニアックスを捨て去ることはさして重要ではなく、この現実から逃げずに正面から向き合うこと。

    根底の理由としてはそういったものがあるのではないかと思います。

    書いてたら『NOAH』も『らぶChu☆chu!』もやりたくなってきたわけなのだがどうしよう。

  • 300人委員会

    実のところ『CHAOS;CHILD』における300人委員会は明確に敵対関係でいたわけではないんですよね。

    佐久間は敵対していたけれど、下部組織の人間で、直接的に委員会と直接的なつながりがあるわけではなかった。

    対して和久井は委員会の人間だけど、独自の目的のために委員会の決定を無視する形でカオスチャイルド症候群患者を見守っていた。

    AH総合病院地下に収容されていたギガロマニアックスの被検体こそ、300人委員会に連れ去られてしまいましたが、基本的に今回の立ち位置は一貫して観察に徹していたのだと思います。

  • 情報弱者と情報強者、当事者と部外者

    カオスチャイルド症候群とかギガロマニアックスとかの設定の方が目につきやすいですが、実はこちらも物語の根幹を担っているであろう情報についての設定。

    物語の序盤、拓留自称:情報強者として情報弱者を馬鹿にしています。

    インターネットの普及によって作り上げられた情報化社会。

    一部の情報強者によって情報弱者は気づかれる間もなく踊らされ、利用されています。

    ですが『CHAOS;CHILD』の物語において、情報強者とは当事者のことであり、情報弱者とは部外者のことだと筆者は考えています。

    TRUEにおいて真実という情報を知ったところで端役ですらない部外者である世莉架には何もすることができません。

    そしてそれは拓留によって救われた他のヒロインたちを始めとするカオスチャイルド症候群患者も同じ。

    その一方で拓留はこれまでの事件で得た情報を使い、和久井と取引します。

    当事者として正面から問題に向きあい、その責任を抱え込む。

    現実を生きている人々にとっては極々ありふれたことですが、渋谷震災という未曽有の危機にそれをできない若者が多かったからこそ、カオスチャイルド症候群なんてものが生まれたのだと思います。

  • 真実と嘘の扱い方

    こちらも上に通ずる話ですが、『CHAOS;CHILD』では度々、真実と嘘が話題に上がります。

    雛絵のギガロマニアックスである「言葉の真偽」によって言葉の裏に潜む本当の感情を知ることができ、雛絵はふざけた態度を取り続けることで心の安寧を得ようとします。

    青葉寮での「家族間での隠し事をしない」という決まりに関しては、泉里が他人に話すことのできない秘密を抱え込みます。

    それは他人の心がわからないからこそ、嫌われるかもしれないという恐れからきています。

    その一方で佐久間は終始、言葉以上のことを考えておらず、彼にとっては青葉寮の家族ごっこも「ニュージェネレーションの狂気の再来」のどちらも等しく楽しいこと。

    本当のことを言うから正しくて、嘘をつくから悪いというわけではない。

    「優しい嘘」という言葉があるように時としては嘘をつく必要もあるだろうし、なんでもかんでも本当のことを話す必要はない。

    むしろそれらの価値観は受け取り側次第で様々な形に変わってきます。

    そのことを『CHAOS;CHILD』はまざまざと見せつけてくれました。

他にも設定の上で気になる部分は多々ありますが、とりあえず個人的に気になったところのみを書いてみました。

たぶん書き漏らしている部分は多々あるとは思いますが、そういったものは公式設定資料集を読んだ後に追記で書くことがあるかもしれません。

仮説:妄想は本当に終わったのだろうか?

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ここからはこれまでの考察を含めつつ、筆者独自の妄想として1つの説を提示してみます。

自分で言うのもなんですが、トンデモ説だと思いますので興味ない人はスルーでお願いします。

  • TRUEもまた世莉架の妄想の世界である可能性

    TRUEにおける世莉架の見た夢で「第7の事件が発生した際に拓留泉里と共に歩むビジョンを見た世莉架の手が狂い、それによって彼女は一命を取り留める」といった描写があります。

    乃々ルートの考察記事で語ったように、筆者は世莉架は確かな友情を泉里に感じていたと推察しています。

    拓留のために世莉架は親友である泉里を殺した。

    けれど本来、世莉架は泉里を殺すつもりはなかったことがTRUEで明らかとなっています。

    TRUEでは「拓留に与えるショックが強すぎる」という理由を述べていましたが、それだけではなく単純に世莉架自身が泉里を殺したくなかったのだとしたらどうでしょう?

    殺した現実から逃げ出して、彼女が生きている妄想に逃げ込みたかった。

    そして世莉架自身も拓留が望むような普通の女の子になりたかったのだとしたら……。

    そう、TRUEもまた世莉架の望む妄想の世界なのではないだろうか?

    そう考えてみるといくつかの疑問について答えを得られることができます。

  • 個別ルートも妄想の世界?

    TRUEについての話は一端、外に置き、個別ルートについて考えてみます。

    TRUEで世莉架以外のヒロインたちは昏睡状態に陥っています。

    カオスチャイルド症候群から脱却した拓留に近しい人物のみそのような症状に見舞われていますが、その中には同じくカオスチャイルド症候群患者であろう結人の姿がありません。

    ただ単純にCGの問題で描かれていないと考えるのは簡単ですが、もし彼が例外的に昏睡状態に陥っていないとしたらどうでしょう?

    昏睡状態に陥っている4人はいずれも個別ルートのあるヒロインです。

    では昏睡状態に陥っている中で彼女たちの意識はどこにあるのか?

    筆者はそれぞれがそれぞれの世界の中で妄想の世界に生きていると考えており、それこそが個別ルートなのではないかと思っています。

    雛絵ルート「DARK SKY END」は他の人物から見ればバッドエンドとも思えるエンディングです。

    ですが雛絵本人の視点で考えれば皆に祝福される形で拓留と恋仲になるという幸せな結末を迎えています。

    華ルート「DEEP SKY END」では、主人公とヒロインが協力し強大なラスボスを倒すといった、まるでゲームのような物語です。

    しかもそれまでまともに話し合えるいなかった華にとって拓留は貴重な言葉を交わせる相手であることを考えると、この混沌とした世界は望むべくしてなった世界ではないでしょうか?

    うきルート「DREAM SKY END」では、常に他者の面倒を献身的に見ていたうきが逆に面倒をみられる側に立っています。

    望まれて他人の面倒をみていたうきですが、その内面では誰かの面倒を見ることに疲れていたのかもしれません。

    極めつけは泉里ルート「REAL SKY END」で、乃々という偽りの姿ではなく泉里という本当の自分を拓留に受け入れられました。

    彼女にとってはこれ以上の幸せなことはないでしょう

    これらのエンディングは拓留にとってもしたいことだったのと同時に、それぞれのヒロインが一番救われる形に終わっています。

    昏睡状態に陥った原因が拓留カオスチャイルド症候群から脱却したことによる妄想シンクロの揺らぎであれば、今の彼女たちは誰とも妄想を共有していないことになります。

    であれば各々が望んだ一番幸せな世界を見るのは必然なのではないでしょうか?

  • 香月華というヒロインの必要性

    個別ルートについてさらに突っ込んで考えてみます。

    『CHAOS;CHILD』における香月華の役割ってなんなんでしょうね?

    のキャラクター雑感でも言いましたが共通ルート、個別ルート、TRUEのすべてにおいて彼女がいなくても物語は回ったと思います。

    唯一、必要性があったのは彼女自身のルートのみなのですが、華ルートは他の個別ルートと比べてトンデモ展開です。

    ですがそこで初めて明かされる事実として和久井が委員会の人間というものがあります。

    一応、重要な伏線の回収ではあるのですが、別にこれはTRUEで初めて明かされても問題なかった事実なんですよね。

    そうなるとなおのことの存在意義が見えなくなります。

    ですが上で書いた通り、個別ルートの世界を華自身が望んでいたのならどうでしょう?

    それは決して意識的なものではなかったのかもしれません。

    ですが無意識化にみる夢としての妄想であれば、あのような整合性のない世界が生み出されても仕方ないのではないでしょうか?

  • 「DARK SKY END」で言うところの「本当の世界」とは?

    個別ルートの最後に聞こえてきた世莉架の声。

    拓留に対する声掛けのような声ですが、何故か死んでいるはずの乃々ルートのスタッフロール後でも世莉架は話しかけてきます。

    これは雛絵ルートのスタッフルート後における死亡したはずの拓留の視点にも通ずるものがあります。

    雛絵ルートでの拓留「本当の世界」の存在を示唆しています。

    一般的に言えば「本当の世界」といえば現実の世界のことを思い浮かべがちですが『CHAOS;CHILD』では現実を妄想が上回っています。

    そうなると現実を正常に認識できないカオスチャイルド症候群患者にとって「本当の世界」とは「現実の世界」と「妄想の世界」のどちらのことを言うのでしょうか?

    答えは言うまでもありませんね。

  • 「ANOTHER SKY END」における目覚めた世界すらも妄想である可能性の示唆

    「ANOTHER SKY END」においてうきの作り出した妄想の世界から目覚めた拓留。

    しかしその世界もまた「妄想の世界」である可能性が示唆されます。

    そもそもうきルートのみ別エンディングが用意されていることそれ自体が、重要な伏線であると考えられます。

    本筋であるのは「DREAM SKY END」ですが、それならば「ANOTHER SKY END」の存在意義は何なのか?

    それは「妄想の世界」から目覚めた先の世界もまた「妄想の世界」であるという可能性を示唆することなのだと思います。

    カオスチャイルド症候群患者の見ている世界と同様に妄想で生み出した世界を妄想だと認識することはできません。

    ですがそこにいる人たちにとっては「妄想の世界」ではなく「現実の世界」なのです。

    そのようなことを考えさせるためのエンディングなのだと思います。

  • 「OVER SKY END」で姿を消した拓留と世莉架

    目覚めた世莉架拓留に口づけし、そのまま姿を消すという終わり方をする「OVER SKY END」

    拓留が収容されていた病室付近で警察官が倒れていたことから、世莉架が倒したものだと思います。

    ですがその表情や口調は以前の人形のものとは違い、どこか柔らかい印象を受けました。

    1周目をプレイしただけではわかりませんでしたが、今にして思えばこの世莉架は普通の女の子としての「妄想の世界」の中で生きた後の世莉架なのではないでしょうか?

    だからこそ、拓留に対してただ存在意義として付き従うのではなく、明確な愛情が芽生えたのではないか?

    そもそも「OVER SKY END」という名称をそのままの意味で捉えるのなら、「空を超えた未来」ということになります。

    ここでいう空というのは「本当の世界」の意であり、「本当の世界」とは「妄想の世界」でもあるとこれまで何度も言ってきました。

    ですが「本当の世界」には当然ながら「現実の世界」という意味も含まれています。

    つまり「OVER SKY END」とは、本当の意味で本当の世界に帰還したととれなくもありません。

  • 世莉架が普通の女の子として生きる世界を拓留が創り出したという可能性

    これまでのことからTRUEにおける世莉架がいた世界は「拓留のギガロマニアックスが生み出した妄想の世界」であるという可能性が浮き彫りになります。

    カオスチャイルド症候群患者の見ている世界は現実のものではないにしても、当人にとってみれば現実として認識できる世界です。

    そしてTRUEは普通の女の子となった世莉架視点で描かれており、拓留を始めとした他のキャラクターの心理はほとんどわかりません。

    つまりTRUEで見ている世莉架の世界もまた、現実の世界であるかどうかはわからないのです。

    真実の流れはむしろ共通ルートの方であり、本当の世界では乃々は死んでいる。

    けれど世莉架が本当に乃々を殺したくなかったのであれば、致命傷を外し一命を取り留めているというTRUEの世界が構成された。

    部外者でもある情報弱者は間違った情報を真実と認識してしまう。

    けれど当事者である情報強者は真実の情報を嘘で覆い隠してしまうこともある。

    つまり「TRUE(真実)」こそ「FAKE(嘘)」であり、「現実の世界」は1周目の世界のことだった。

    ……普通に考えれば「SILENT SKY END」で現実への帰還を果たしたと解釈するところですが、がっつり妄想してみればこのような真実にたどり着くこともできるのが『CHAOS;CHILD』の面白いところですね。

この仮説があっているかどうかは別にして、ここまでの妄想をさせてくれる『CHAOS;CHILD』という作品は凄まじい作品だと思います。

よく「物語の受け取り方は読み手次第」といいますが、『CHAOS;CHILD』の場合、意図的に真逆の真実にもたどり着けるような物語の形を成し、そのために伏線を回収しきらなかったような気がします。

これだから科学アドベンチャーシリーズは止められませんね!

『CHAOS;CHILD』についてはすでにアニメ化も決定しており、反響次第では外伝作品が制作される可能性もあるとのことなので、今後の展開にも注目したいところです!

以上「SILENT SKY END」のレビュー、およびに『CHAOS;CHILD』の総括でした。

tabidachi

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