ZERO ESCAPE 刻のジレンマ C-END:1の感想・考察 そして善人シボウデスへの道が開かれた
2017/02/06
2016年6月30日にPSVita/3DS/PCで発売された『ZERO ESCAPE 刻のジレンマ』
『Ever17』『12RIVEN』などのInfinityシリーズを手がけたことで知られる打越鋼太郎さんがディレクター・シナリオを務めた本作は『9時間9人9の扉』『善人シボウデス』に続く『極限脱出』シリーズの最新作であり、完結編として制作されました。
実に7年に渡る集大成として制作された『ZERO ESCAPE 刻のジレンマ』を早速買ってきたのでプレイレビューを書いていきたいと思います。
今回はC-END:1の感想と考察をメインに紹介していきたいと思います。
なお最初のエンディングについてはこちらの記事に書いております。
『極限脱出』シリーズの簡単な紹介も書いておりますので、もしよろしければそちらから目を通していただければ幸いです。
目次
シフトを繰り返したその先へ……
今まではQ-ENDやD-ENDといったQチームやDチームが主体となるエンディングばかりでした。
しかしここにきてようやくCチームを主軸としたエンディングへと到達することができました。
最初のコイントスでも指名されている通り、これまでのストーリーでもカルロスが1番主人公をしています。
正義の消防士であり、超がつくほどのシスコンであるカルロス。
そんな彼が導いたエンディングもやはり友との約束を果たすべく行ったものでした。
ネタバレなし感想:友との約束を果たしたカルロス
ここまで来るともうネタバレなしで感想を書くのに無理が出てくるので簡潔に言います。
エンディング直前のカルロスの登場の仕方があらゆる意味でテンプレでした。
「待たせたな、お前たち」と言った感じで登場したカルロス。
どこかドヤ顔にも見えるその顔は約束を果たした一人の男の忍耐を表しているようで、そういうシーンじゃないのに思わず笑ってしまいました。
システム紹介:時系列を可視化するグローバルフローチャート
Q-END:1のレビュー記事を書いた際に『ZERO ESCAPE 刻のジレンマ』は「フローティング・フラグメント・システム」でバラバラな時系列でプレイしていくと言いました。
その一方で「グローバルフローチャート」という時系列に並べ直したフローも存在します。
可視化した時系列によって物語がどのような流れで進んでいくのかをプレイヤーに再認識させるこのシステム。
読み返す際や考えをまとめる際には非常に役立つものですが、あまり鵜呑みにするともしかすると思わぬミスリードに引っかかってしまうかもしれませんよ?
ネタバレあり感想:希望と絶望の産声
というわけでここからC-END:1のネタバレ感想・考察となります。
広告の下はネタバレとなりますので、ネタバレを嫌う人はブラウザバックをお願いします。
約束を果たしただけなのに淳平と茜に糾弾されるカルロス(´・ω・`)
D-END:2の感想記事でD-END:1につながるエンディングと言いましたが、本当の意味で繋がることになるのはこちらのエンディング。
D-END:1でラジカル6に感染した状態のまま脱出を果たしたシグマ、ファイ、ダイアナの3人。
結果的に世界にラジカル6がバラ撒かれ、60億人の人類の死が確定したこの歴史に茜と淳平はトランスポートしてきます。
そこで茜と淳平はゼロにこの歴史が茜の知る『善人シボウデス』に繋がる歴史であることが伝えられます。
そのことにショックを受けつつ、脱出の方策を考える茜と淳平。
そこにやってきたのはカルロスでした。
彼は茜と淳平を救うために、トランスポートのチャージが終わる時間を計算し、この歴史の10ヶ月前へトランスポート。
その後、ゼロがディシジョンゲームを仕掛けることを止めようとはせずに、茜と淳平がこの歴史へとトランスポートしてくるのを待ち続けていたました。
ただ2人との約束を果たすために。
ですが時すでに遅し、すでに世界にはラジカル6が広まり、60億の人類が死ぬことになったのです。
知らなかったこととはいえ、そのことにショックを隠し切れないカルロス。
それに対し茜は再び、AB計画を実行するために45年の歳月を掛けて月の施設を作り上げる決意をします。
そして計画を成功させるために淳平の記憶を消し去ったのです。
目的のためには手段を選ばない、人類60億の命を救うために自分の思いを犠牲にした。
物凄く悲壮感溢れるエンディングです。
カルロスたち3人は様々な歴史へとシフトし、トランスポートすることでようやくこの歴史までたどり着くことができました。
しかしその結果は、60億人の犠牲であり、結局何も未来を変えることができなかった。
メタ的な言葉で言い換えれば17時間弱のプレイしても、筆者は未来を変えることができなかった。
これほど悲しいことはない。
その一方で『善人シボウデス』に繋がる伏線の回収の仕方は実に見事。
D-END:1の時点では『善人シボウデス』との矛盾が目につきましたが、それをまさかこういった形で回収してくるとは……。
特にすごいなと思ったのが、ディシジョンゲームで使われた記憶消去薬を淳平から茜の記憶を消すために利用した一連の流れ。
エンディングの時点では淳平はただ眠りについただけなのでしょうが、その間に茜に会った記憶は消されることになる。
けれど心のどこかでは茜に会ったことを覚えていたんでしょうね。
だから擦り切れながらも45年間一途に茜を思い続け『善人シボウデス』の天明寺になったと言えます。
正直、このまま『ZERO ESCAPE 刻のジレンマ』を放置して『善人シボウデス』をやり直したい衝動がヤバイです。
とはいえここまできた以上、プレイを止めるのも勿体無い。
というわけでいつものように当てにならない考察をしつつ、考えをまとめ直してきたいと思います。
- ゼロの正体
明言されたわけではありませんが、今回のエンディングでゼロの正体が明らかとなりました。
フリー・ザ・ソウルのボスであるラザーであり、シェルター内で生まれ、妹がおり、血の繋がらない弟と暮らしてきた男。
さらにQチームが処刑された歴史ではすでに自分は死んでいるとの発言。
これはもうブラザー=デルタ=未来のエリックで確定でいいのではないでしょうか?
とはいえまたわからないことが生まれました。
それはデルタ(とファイ)がトランスポートしたのが1904年だということ。
1904年に飛んだはずの2人がどのような経緯で今の時代にやってきたのか?
わからないことだらけですが、こうなるとデルタは17年前の事件の当事者だとしてもおかしくはありませんね。 - ゼロの目的
ゼロの正体が明らかとなったのと同時に、ゼロの目的もわかりました。
世界人口80億人を殺すことになるたった1人を殺すために60億人を殺した。
ゼロはそう語りましたが、果たして本当にそれだけなのでしょうか?
デルタ自身を誕生させる意味でもディシジョンゲームを行ったとも考えられますし、さらにその先に目的がありそうです。
そもそもAB計画を実施させるためには茜の両親の死が必要不可欠で、その両親の死も17年前の事件が関わっていた。
もしかするとカタツムリを道に置くところからゼロの計画だったのかもしれません。 - 区画と時間の謎について
3チームは同じ区画で別の時間を過ごしていた。
これも今回、明らかになった事実ですね。
トランスポートによる時間移動だったり、シフト現象による歴史移動だったりと難しいSF要素で目眩ましを食らっていましたが、蓋を明けてみれば実に単純な時間差トリックでした。
プレイし始めた当初は筆者もそのことを疑っていたのですが、物語を進めているうちにすっかり頭の中から消えてしまっていた考えでしたね。
これによってこれまで謎だった様々な要素に決着をつけることができます。 - SuppressionでDチームを殺したのは誰なのか?
歴史移動してきたミラだったり、隠し扉を開けることのできたミラだったりといろいろと行ってきましたが、事は単純に同じ区画に居続けたミラが殺しただけでした。
とはいえわからないのは、彼女がバングルの麻酔薬で定刻通りに眠らなかった理由。
あのルートでの特質すべき要素としてはQチームがラジカル6を投与したという点でしょう。
これによって麻酔薬は効かなくなったと考えるべきで、実は麻酔薬や記憶消去薬がFBRであるという可能性も出てきました。
致死率100%のウイルスであるFBR(Fanatic Bio R)
ゼロが語った1人のテロリストのせいで80億人が死んだという話の中でこのウイルスを使われたのは明らかでしょう。
今後、どのように物語に関わってくることになるのか、今から興味深いです。 - Dチームが処刑された歴史で淳平とミラを殺したのは誰なのか?
バラバラ死体となった淳平に争った形跡のあるミラ。
初めは淳平はともかくとしてミラはFBRかラジカル6の効果による死かとも思いましたが、どうやら違う様子。
となるとおそらく2人を殺した人物は同一人物であることは間違いない。
ここで注目したいのがそれぞれのチームの時間の推移。
13時30分にCチームが、15時30分にQチームが、17時30分にDチームが投票を行っています。
つまり淳平をばらばらにする時間があったのはQチームとDチームであり、さらにミラに争った形跡があったことから彼女は起きていた時間ということになります。
となると犯人は必然的にQチームに絞られ、Qチームの2人はおそらくゼロであるエリックとゼロの操り人形であるQの2人。
直接、手を下したのはどちらかは断定できませんが、ゼロの目的の為に犠牲になったのは明らかでしょう。
では何故、ゼロは例外的に淳平を犠牲にしたのか?
筆者には検討もつきませんが、おそらくは次のエンディングまでにはその謎が明らかになってくると思います。
C-END:1によって様々な謎に決着がつきました。
ですがそれと同時に生まれた謎も多く、さらにあれだけ苦労しても結局歴史を変えることができなかったというのは、精神的に一番きついエンディングだったと思います。
とはいえここからはもうハッピーなエンドしかないのではないでしょうか?
そう信じて次なるエンディングを求めてプレイしていきたいと思います。
以上、C-END:1のレビューでした!